渦流探傷とは

渦流探傷の概要


渦流探傷(ET=Eddy current TestingまたはElectromagnetic Testing)とは、金属などの導電体表面付近に存在する割れや腐食などの欠陥を非破壊で検査する手法であり、高い安全性が求められる素材や部品、全数検査が求められる素材や部品の検査に適しています。検査対象の材料には磁性・非磁性を問いません。また、形状や材質によって混合物の異材選別に用いたり、熱処理状態の見極めにも用いることができます。

渦流探傷の応用分野


ETは金属加工、航空宇宙、自動車、船舶、原子力、石油化学や燃焼・冷却といった幅広い産業で利用実績があります。一例として航空機整備においてはポータブル器が、また、鉄鋼や自動車においては自動検査装置が多く利用されています。他にも、鉄道のレール検査に用いられる特別なポータブル検査器や車載型の検査機といった応用事例がございます。原理を同じくするものの、応用分野ごとに全く異なった外観を有するのも渦流探傷の特徴のひとつです。
より具体的には「用途・事例」のページをご覧ください。

渦流探傷の原理


渦流探傷は、非破壊検査手法の一種です。交流電流を印加したコイルを検査体(金属)表面に近づけたときに、検査体表面に生じる渦電流の大きさが欠陥の有無や材質の不均一性といった要因によって変化することを利用し、対象にダメージを与えずに検査を行います。表面に開口した欠陥(亀裂、割れ、打痕、欠け)だけでなく、表面近傍の内部欠陥(腐食、鬆(巣・空孔)、溶接不良、熱処理不良)を検査することも可能です。

渦流探傷の原理
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渦電流の浸透深さ(材料ごとの違い)


次のグラフは、金属材料の違いと周波数変化に対する渦電流の浸透深さの変化を表します。

金属材料と周波数の違いによる渦電流の浸透深さの変化
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データ(電気伝導率・透磁率)出典

(注)実際の検査深さは、部品形状、材質、加工状態、検査機器やプローブ(センサ)により異なります。
また、優れたプローブを用いることで浸透深さ以上の深部を検査することも可能です。

渦流探傷センサの種類(形状による分類)


欠陥種類や探傷/選別のほか、手動/自動などの検査仕様に応じて、最適なプローブをご用意します。
この他にも多くの製造実績がございます。是非お問い合わせください。

ペンシルプローブペンシルプローブ

主な利用業界:航空、自動車、製造業一般など

適した検査部位:平面、曲面など、様々な検査部位に対応

※上置プローブと呼ばれることもあるが、設置方法は上に置くだけに留まらない

内挿プローブ内挿プローブ

主な利用業界:石油化学など

適した検査部位:熱交換管の内部及び外部探傷、腐食検査など

回転プローブ回転プローブ

主な利用業界:航空、自動車など

適した検査部位:ボアホール、チューブ内径など

回転スキャナプローブ回転スキャナプローブ

主な利用業界:航空、製造業一般など

適した検査部位:広い検査部位、リング形状検査体、湾曲した検査部位など

貫通型コイル貫通型コイル

主な利用業界:鉄鋼、製造業一般など

適した検査部位:管・棒・線材の周方向欠陥検出や高速異材選別

回転型コイル(ECローター)回転型コイル(ECローター)

主な利用業界:鉄鋼、自動車、製造業一般など

適した検査部位:管・棒・線材の軸方向欠陥検出、ベアリングピンなどの高速欠陥検出及び異材選別

2(または4)本のプローブを検査対象の周囲に高速で回転させることで検査を行う

渦流探傷の信号表示


「X/Y表示(インピダンス表示)」「Y/t表示(時間ベース表示)」があり、更に、「Cスキャン(欠陥の2次元マッピング表示)」も可能。

• X/Y表示(インピダンス表示)
渦流探傷信号の瞬間的な表示

• Y/t表示(時間ベース表示)
渦流探傷信号の時系列表示
時間経過とともに、渦流探傷信号のデータ点が左から右へと移動する

• Cスキャン(欠陥の2次元マッピング表示)
渦流探傷信号を、検査部位の位置関係に対応するように視覚化して表示
ひと目見て欠陥を認識することが可能
色表示は自由に調整可能

渦流探傷信号表示
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